電力広域的運営推進機関は、2026年度に実施される容量市場メインオークション(実需給:2030年度)に向けた需要曲線の原案を公表しました。
今回の算定では、指標価格(Net CONE)の大幅な上昇や調達方針の変更など、見逃せないポイントが複数あります。
1. 目標調達量は1億9,691万kWへ増加
今回のオークションにおける目標調達量は1億9,691万kWと算定されました。昨年度(2025年度メインオークション)と比較して約694万kWの増加となります。 この背景には、供給信頼度評価に関する諸元の見直しがあります。
- 年間停止可能量の見直し: 火力発電所の補修点検などの調整能力をより厳密に見積もり、追加設備量の算定基準を引き上げたことで、約648万kWの増加要因となりました。
2. Net CONEは「20,911円/kW」に大幅上昇
市場の価格水準を左右する指標価格(Net CONE)は、前回の10,075円/kWから倍増し20,911円/kWとなりました。この大幅な上昇は、以下の要因によるものです。
- モデルプラントの更新: 2025年2月の最新の発電コスト検証報告書に基づき、LNG火力の建設コストや諸元を最新化しました。
- 経済指標の反映: 世界的な物価上昇(インフレ率)や為替の影響などがコストに反映されています。
これに伴い、需要曲線の上限価格(Net CONE×1.5)も31,366.5円/kWに引き上げられています。
個人的には、容量市場創設初期のNet CONE「9,400円」、上限価格「14,000円」が記憶に残っているため、今回の大幅な価格上昇には正直驚きを感じています。昨今のインフレ動向を踏まえても、影響の大きさを実感します。
(参考)容量市場メインオークション結果概要
| 項目 | 第1回 | 第2回 | 第3回 | 第4回 | 第5回 | 第6回 | 第7回(今回案) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 実施年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 |
| 実需給年度 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 |
| 約定総容量 (万kW) | 16,769 | 16,534 | 16,271 | 16,745 | 16,621 | 16,608 | |
| 指標価格 (円/kW) | 9,425 | 9,372 | 9,557 | 9,769 | 9,875 | 10,075 | 20,911 |
| 上限価格(円/kW) | 14,138 | 14,058 | 14,336 | 14,654 | 14,813 | 15,113 | 31,366.5 |
| 約定総額(経過措置控除後)(億円) | 15,987 | 5,140 | 8,504 | 13,140 | 18,506 | 22,094 | |
| 総平均単価(経過措置控除後)(円/kW) | 9,534 | 3,109 | 5,226 | 7,847 | 11,134 | 13,303 |
※第110回制度検討作業部会資料を基に作成
3. 2%控除を廃止し「全量調達」へ
今回の大きな変更点として、「追加オークションのための2%控除」を行わないことが決定されました(詳細は第2回電力安定供給WGを参照)。 これまでは、将来の需給変動に対応するため、目標調達量の算定においてH3需要の2%分(安定電源1%、発動指令電源1%)をあらかじめ差し引いていました。
しかし、今回の2026年度メインオークションからは以下の理由により、メインオークションで全量を調達する方針へと切り替わります。
- 市場退出リスクの回避: メインオークションで非落札となった電源が、追加オークションを待たずに市場から退出してしまうリスクを考慮。
- 応札動向の変化: 発動指令電源の応札量が増加傾向にあり、メインオークションで十分に確保できる見通しが立ったことなどを考慮。
- 供給力不足への警戒: 需要増加や経年火力の休廃止による供給不足のシグナルを受け、確実に供給力を確保する。
4. 今後のスケジュール
今回報告された原案は、国の審議会(電力安定供給WG等)での審議を経て、2026年7月末頃に正式に決定される予定です。

